June 7, 2011

伊豆熱海シリーズ その3













「山光荘」の続き

この宿を題材に漫画を描いたつげ義春氏のエッセイを読むと、当時(おそらく40年ほど前)廃屋同然になっていたこの建物を気に入って独力で旅館を開業したのが女将さんだということらしい
目を見張る美人だったというその女将さんに帰る間際になってようやく対面が叶った
ご隠居されていてもおかしくない年齢だったが、確認するまでもなくこの人だなとわかる佇まいで帳場に現れた

独特の雰囲気に気圧されつつお部屋もお料理も素晴らしかったと伝えると、ええそうでしょう、といった反応が返ってきた
なるほどこの宿がこの場所にあってこの値段でこの完成度である理由がよくわかった
庭木から醤油差しに至るまでこの女性の美学が表現されているのだ
実は部屋も料理も予約した内容と違っていたのだが、ここではそれもありなんだなと納得して帰途についた

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