July 23, 2010

SWAN LAKE


もう先月の話になりますが、青山劇場に
マシュー・ボーンの「スワンレイク」を観に行きました。古典バレエの名作「白鳥の湖」の現代解釈版です。音楽はチャイコフスキーのオリジナルそのままですが、時代背景・ストーリー・登場人物・衣装・振り付けは全部新解釈になっています。見所はなんといっても、白鳥が全員美男子というところでしょうか。(そのせいかお客さんも女性が多い多い…)スタイルとしてはコンテンポラリーで、古典バレエの優雅な女性の白鳥と違って、荒々しく野生的な白鳥が表現されています。特に第一幕最後の白鳥群舞は圧巻です。あそこだけ何度でも見たい。

映画「リトル・ダンサー」で広く知られるようになったこの舞台、主役ダンサーはやはりアダム・クーパーが有名ですが、首藤康之さんも踊ったことがあるそうです。私はアダムの公演のビデオを見たことがあって、そのイメージがずっと強く残っていたのですが、今回の公演でリチャード・ウィンザーが主役を踊るのを見て、いい意味で期待を裏切られました。同じ振り付けでもこんなに違うものかと新鮮な驚きでした。もしまた何年か後に来日公演があれば、きっとまた違うスワンが見れるのだろうなと思うと、是が非にも行きたくなります。

バレエを観に行ったのはシルヴィ・ギエムの「ボレロ」以来。ギエムにしてもスワンレイクのスワンにしても、性別とか人間とか、括りや概念を軽々と飛び越えてしまう。身体性を純化するとかえって精神性までが強調されるものだなということを改めて思いました。

July 14, 2010

ヤン・ファーブル×舟越桂展 at 金沢21美

―過去と現在の対話 西洋と日本の対比 ―


何かを理解しようと思う時、そのルーツとバックグラウンドを知りたいと欲するのは自然なこと。それが世界であっても、ひとりの人間であっても。理解したいという欲求があるから、知りたいという欲求も生まれる。 個を離れ俗を離れて自分の属する世界や生命の成り立ちについて思いを巡らせることは、私にとっての癒しです。

金沢在住の友人が転勤することに。彼女が住んでいるということだけで白地図の上のこの街に色がついていたので少しさびしい。でもまた新たな土地が色つきに変わることを期待。

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「ヤン・ファーブル×舟越桂展」

キリスト教や仏教などの絶対的な大宗教によって秩序がもたらされていた中世
科学技術をはじめあらゆる学問の進歩によって新たな世界観と価値観がもたらされた近代
そして多様化し続ける現代社会が抱える異文化間摩擦と思想的混乱状況・・・
そのような歴史背景を体系的にとらえながら、中世絵画と現代アートとの対話を試み、
ベルギー人と日本人の二人のアーティストを対比させ、それを通じて人間の存在を問い直し、
新しい人間像を探るという展覧会。

舟越氏の彫刻は何年も前から見たいと思っていたので、今回の展覧会を知った時はなんとしてでも行く!と思いました。展示数はかなり多くて充実していて大満足。均整とアンバランスの両方を感じさせる顔だちと体つき、クスノキから彫り出された美しい質感、見ても見ても飽くることのない作品でした。人の手が作りだしたものだなんて信じられない。
ファーブル氏の作品はなかなかグロテスク。ただ最近ちょっと昆虫に興味を持っていたところだったので、人体と昆虫との親和や、そこから聖性を喚起させる作品は抵抗よりむしろ親近感をもって見れました(ちなみに氏の曾祖父はあの昆虫記を書いた方)。今度ルーブルに行く機会があればフランドル絵画のコーナーで立ち止まってみようと思います。

July 7, 2010

プチ・ドライブ行き先はパンの家

先日ちらっとふれた小樽の伝説のパン屋さんについてレポートします。
だいたい鼻の利く人は店の雰囲気を見ただけでアタリかどうかわかるものだと思いますが、どうでしょう、ツタのからんだ緑あふれるアプローチ、目の前は真っ青な海、ハズレる要素がありませんね。

ごくごく普通の民家を改装したという雰囲気の店は、入ってすぐの2坪ほどのスペースにパンを並べたテーブルとそのパンのためのアンティークな秤を置いたカウンター、レジはなし。お客さんは5~6人入るといっぱいなので外で待機。カウンターの向こうはすぐ工場で、工場というか窯元のアトリエみたいな空間に素朴な器のような佇まいで静かに熱がひくのを待っている焼きあがったばかりのパンたちが見えます。

私が買ったのは、くるみとドライフルーツが絶妙にぎゅうぎゅうなロデヴという名前のパンをはじめ、ブラックオリーブ、ほうれん草とチーズ、ブルーベリー、プレーンだけどなんか酸味があって美味いバゲット、ほんのりミントのショコラ、パリで食べたのと同じ味がしたクロワッサン。自分用と実家に送る用と買って紙袋パンパン。これを抱えて帰りの飛行機に乗ったら、隣の人にガン見されました。


すぐ近くの海岸でカモメの群れが羽を休めているのを眺めながら、まだ温かいクロワッサンをぱくり、もさもさ。こんな贅沢ありゃしませんね。

お店情報は食べログが充実→
コチラ
車じゃないと行けない所ですが、ドライブコースとしてもなかなか魅力的ですのでおすすめです。

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今日は七夕ですね。織姫も彦星も曇っていて見えませんが。
7月7日といえば、死んだじいちゃんの誕生日でした。死ぬとどうも命日のほうが重要なかんじになりますけど、私はなんとなくこの七夕さんの誕生日を覚えていてあげたい…七夕なんてロマンチックとは程遠いじいちゃんだったけどね。