July 14, 2010

ヤン・ファーブル×舟越桂展 at 金沢21美

―過去と現在の対話 西洋と日本の対比 ―


何かを理解しようと思う時、そのルーツとバックグラウンドを知りたいと欲するのは自然なこと。それが世界であっても、ひとりの人間であっても。理解したいという欲求があるから、知りたいという欲求も生まれる。 個を離れ俗を離れて自分の属する世界や生命の成り立ちについて思いを巡らせることは、私にとっての癒しです。

金沢在住の友人が転勤することに。彼女が住んでいるということだけで白地図の上のこの街に色がついていたので少しさびしい。でもまた新たな土地が色つきに変わることを期待。

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「ヤン・ファーブル×舟越桂展」

キリスト教や仏教などの絶対的な大宗教によって秩序がもたらされていた中世
科学技術をはじめあらゆる学問の進歩によって新たな世界観と価値観がもたらされた近代
そして多様化し続ける現代社会が抱える異文化間摩擦と思想的混乱状況・・・
そのような歴史背景を体系的にとらえながら、中世絵画と現代アートとの対話を試み、
ベルギー人と日本人の二人のアーティストを対比させ、それを通じて人間の存在を問い直し、
新しい人間像を探るという展覧会。

舟越氏の彫刻は何年も前から見たいと思っていたので、今回の展覧会を知った時はなんとしてでも行く!と思いました。展示数はかなり多くて充実していて大満足。均整とアンバランスの両方を感じさせる顔だちと体つき、クスノキから彫り出された美しい質感、見ても見ても飽くることのない作品でした。人の手が作りだしたものだなんて信じられない。
ファーブル氏の作品はなかなかグロテスク。ただ最近ちょっと昆虫に興味を持っていたところだったので、人体と昆虫との親和や、そこから聖性を喚起させる作品は抵抗よりむしろ親近感をもって見れました(ちなみに氏の曾祖父はあの昆虫記を書いた方)。今度ルーブルに行く機会があればフランドル絵画のコーナーで立ち止まってみようと思います。

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