July 30, 2011

Unbuildな世界


アンビルト・ドローイング
『起こらなかった世界についての物語』三浦丈典
最近見つけた素敵な本をご紹介します
堅くて重たい建築書に挟まれてちょっと窮屈そうにしていた背表紙
詩的なタイトルに惹かれて手にとって見れば
星空を思わせるような装丁、美しい挿絵、可愛らしいサイズと値段!

で、なんの本なのかというと
実際には建築されることのなかった(=アンビルト)建物・都市のドローイングを紹介する内容
―ぼくが学生のとき図書館の奥の奥のほうから引っ張り出してはぱらぱらと見て、興奮していたものを中心に集めました ・・・略・・・ 後に実現した計画のドローイングより、なんらかの理由によって実現しなかったアンビルト・ドローイングのほうが、自分の妄想の勢いが加速するということでした―
というイントロダクションから始まって実在しない不思議な場所ばかりを巡るツアーにうっとり

チョイスされている絵がいいのはもちろん、解説もとてもよいです
建築家には文章がお上手な方は結構多いような気がしますが
著者:三浦丈典さんも建築家であり、若い頃から書評を書かれていただけあって魅力的な文章です
タイトルを裏切らない詩的な表現とちょっとマニアックな建築知識の混在融合
読みやすいのに読み応えがあるのでおすすめです

アンビルトで思い出すのは竹宮恵子の漫画に出てくる未来都市
「私を月まで連れてって」は古い漫画ですがいつ見ても新鮮
最近だと入江亜季さんという漫画家さんの描く世界が好きです
ご本人も ―実際には存在しない自分の頭の中の憧れの街を描く― と言っている通り
一種のアンビルト・ドローイングですね

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