October 28, 2010

さ い は て



28才最後の日に見た景色。
風の音が今も耳に残る。

***
生きることは破綻と再生の繰り返し。
ヤンソン氏は成長期のムーミン・トロールだけでなく大人たちにもその試練を与えていて、
その分け隔てのなさこそが彼女の生への誠実さを表している気がする。

「ムーミンパパ海へ行く」はムーミンシリーズ最終巻「ムーミン谷の十一月」のひとつ前の作品。
ただし「十一月」には一家は登場しないので、この「海へ行く」が実質最終巻といえる。
その最後の最後にして一家は家族としての臨界点をむかえ、楽園であるムーミン谷の家を離れ、
遠く離れた孤島の灯台に移り住むこととなる。 (ちなみに「十一月」ではこの一家の留守中の屋敷にムーミン達を訪ねて色んな人が集まってくるという同時進行的な話になっている。)
これまで理想の家族像であるように描かれてきたムーミン一家の破綻と再生は、
生きている限り私たちが絶えず変化し続けなくてはならない運命にあることや、
その度に自己や共同体は解体され、やがて新たな形を見出して再構築されていくことを教えてくれる。



誠実に、生を全うしたい。

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