January 15, 2012

新年おめでとうございます



朝の明治通り、信号の切替わりと車の流れを読んで、一斉に人々が通りを横断していく瞬間が好き。東京は忙しなくて複雑だけど、みんな飛び石を軽々と渉るみたいにして難なく生きている、ように見える。朝の光は職場へ急ぐ人たちをそんな風に照らす。数年後にこの場に同じ人がどれだけ歩いているのだろうかと考えている私に、そこのアウディのガラス張りのビルは今日も、だからなんだという顔で街を切り取って見せる。

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「ストリート・ライフ」展
トーマス・アナンのグラスゴーの街並みの写真がやっぱりよかった。ラピュタのパズーの住んでた街とかが近いかんじ。昔は産業革命って暗くて不衛生なイメージしかなかったけど、こうして写真で見てみると埃っぽくて赤裸々で不思議な郷愁を感じる。とっくに失われた街だと知りつつ、なるほどここから数々の名バンドが生まれたのかーと感慨深く思う。
人を写したものも面白かった。ウジェーヌ・アジェの、背中に大きな籠を背負って手に棒を持った男を写した「塵芥拾い」という作品の原題が"Chiffonier"となっていて、確かシフォニエって箪笥の種類のことではなかったっけと思って帰ってきてから調べてみたら、やはりその箪笥の語源のようでした→ChiffonierRag-picker Chiffonて単語が綺麗でかわいいイメージなのだけど、それが塵芥拾いと繋がると逆にぐっとくる。"ちりあくた"の響きもよいし。
アウグスト・ザンダーはポートレイト。こちらを見据えた目にどことなく誇らしげな表情を見てとれるのは「医長」「下働きの人夫」「建築家」「ドイツ民主党の議員」など様々な職業をタイトルに冠した人物たち。服装を見るのも面白い。「鍵作りの親方」は、スタンドカラーのシャツの上に大きなエプロンをかけてツィードのジャケットを羽織りキャスケットのような帽子をかぶっている。どれもよく着古されていて身体の一部のように馴染んでいる。とにかく格好良い。

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